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卒業生の皆さんへ(お知らせ)
平成30年4月から西高は気仙沼高等学校と統合します。
1 卒業証明書や単位修得証明書等の発行は4月以降、気仙沼高等学校事務室でおこなわれますので、よろしくお願いします。
気仙沼高等学校
〒988-0051 気仙沼市常楽130
TEL0226-24-3400
FAX0226-24-3408
2 4月以降、宮城県気仙沼西高等学校の敷地内には入れません。
33周年記念式典式辞(2017.10.28)
木々の葉が程よく色づき、秋の深まりを感じるこの佳き日に、宮城県教育委員会教育長様、宮城県議会議長様はじめ、多数の御来賓の皆様の御臨席を賜り、宮城県気仙沼西高等学校創立三十三周年記念式典を挙行できますことに、衷心より御礼申し上げます。
本校は平成三十年四月に宮城県気仙沼高等学校と統合いたします。三十三年は周年記念の数字として相応しくないのかもしれませんが、統合する前に、西高にゆかりのある方々にお集まりいただき、学校の歴史をふり返りながら、約四千三百名の卒業生を育んだ校舎と、本校に関わっていただいた全ての皆様に対して、感謝の意を表す機会を是非設けたいと考え、本日を迎える運びとなりました。
気仙沼西高校は、昭和六十年四月に地元の熱い要望が実り、県の御指導の下、気仙沼市の御協力を得て、地区では初めての男女共学・普通科の高校として開校いたしました。施設がまだ完全に揃わない中、百八十八名の入学生と二十名程の教職員でのスタートでした。当時、他校の生徒からは、西高は先輩も居なくて、生徒が和気藹々としていて楽しそうだと思われていたようですが、内情としては、新設校として学校の方針や方向性を模索しながら、何事も初めから創り上げることに、生徒も職員も日々苦労を重ねていたことが、様々な資料や記録に残っています。
西高生と言えば、全体的には誠実で奥ゆかしいというのが大まかなイメージですが、学校の草創期に西高生だった皆さんは、当時の状況を考えると、もっと自主的でたくましい高校生だったのだろうと想像されます。そのことは、卒業後約三十年間、ほぼ変わることなく今日までその運営に携わっていただいている、本校の同窓会の役員の皆様のお姿を見ればよくわかります。
高校卒業直後から同窓会役員を引き受け、一から運営に携わってこられた皆様には、ほんとうに頭が下がりますが、初期の頃は会員が皆若かったため、その代わりとなって学校を支援する体制が必要でした。歴代PTA会長の皆様方や当時の職員の皆様には、学校を支援するためにひとかたならぬ御苦労があったことと推察いたします。
男女共学校とはいえ、常に女子生徒の在籍数が多く、ある年の三年生の男子生徒の在籍が一名だけの時もありました。開校当初から、生徒の多様な進路希望に応えるため、学校は、時代の変化に合わせて効果的な指導方法を工夫し続けました。小規模校の利点を活かしたきめ細かやかな学習指導をとおして、有能な人材を輩出することに継続的に取り組まれた、歴代の校長先生方をはじめ、旧職員の先生方に改めて敬意を表します。
平成十二年度からは、「進学、情報、福祉」の三類型制の教育課程が導入され、現在に至るまで効果的に運用されています。特に福祉類型は、地域でより実践的に貢献できる人材の育成を目指した、特色ある教育活動を展開しています。市内の福祉施設の御協力の下で実習等を行わせていただき、在学中に介護職員初任者研修を修め、その後のステップアップを経て、多くの卒業生が社会に出て活躍しています。
また、部活動においては、開校当初から熱心に御指導いただいている外部指導者の皆様や、歴代顧問として各部の指導に当たられた旧職員の皆様の御尽力のお陰で、フェンシング部や陸上競技部、自然科学部、吹奏楽部等が活躍し、各分野で気仙沼西高の名を歴史に刻みました。
他にも、牧沢自治会との合同奉仕活動や地産地消のお弁当コンテストでの受賞、地域の各種イベントで、市内の諸機関から西高生のボランティア参加が常に期待されている等、気仙沼西高校は地域に根ざした学校としてその役割を着実に果たして参りました。
さて、在校生の皆さん。皆さんは本校の最後の生徒です。この式典を機に、学校が多くの方々によって支えられてきたことをしっかりと肝に銘じ、これからも感謝の気持ちを決して忘れずに、今後の高校生活を送ってほしいと思います。
気仙沼西高校としての教育活動はあと五ヶ月となりましたが、在校生、教職員一同、本校が地域に果たしてきた役割を最後まで全うする所存です。
終わりになりますが、これまで気仙沼西高校に御協力、御支援いただいた全ての皆様方に心から感謝申し上げますと共に、本校の歴史と功績が、本県教育の将来の確かな礎となり、統合校の益々の発展に貢献することを御祈念申し上げまして、式辞といたします。
平成二十九年十月二十八日
宮城県気仙沼西高等学校長 佐々木光久
入学式式辞(2017.4.7)
式 辞
朝晩の冷え込みも少しずつやわらぎ、日増しに陽ざしが暖かくなってきている今日この頃、ここ牧沢の丘にもようやく春の訪れが感じられ、今年もまた生けるもの全てが躍動する季節が巡ってきました。
この佳き日に、御多用の中、御来賓、保護者の皆様の多数の御臨席を賜り、平成二十九年度宮城県気仙沼西高等学校入学式を挙行できますことは、本校にとりまして、この上ない喜びであり、御臨席いただきました皆様方に厚く御礼を申し上げます。
ただ今入学を許可した八十名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。在校生、教職員一同、皆さんを心から歓迎します。気仙沼西高校の最後の入学生として、自ら選んで入学してきた努力とその志に敬意を表します。
本校は、気仙沼地区で初めての男女共学・全日制普通科の高校として、昭和六十年に開校しました。卒業生は四千名を超え、地元はもちろん、全国各地、多方面において活躍しております。
平成十二年度からは、進学類型、情報類型、福祉類型の三類型を開設し、牧沢地区にある多くの施設と連携を図りながら、地域でより実践的に貢献できる人材育成を目指し、特色ある教育活動を展開してきました。本校が気仙沼地区において果たしてきた役割は決して小さくなく、地域とともに歩み、地域に支えられながら、明るい校風と歴史を築いてきました。
しかしながら、地域の生徒数減少にともない、今年一年でその役割を終え、来年四月に気仙沼高校と統合することになりました。皆さんは、一年生で気仙沼西高校で学んだ後、二年生からは統合気仙沼高校の生徒となり、統合校の卒業生になります。西高生として、これまで先輩方が築いてきた伝統を受け継ぎ、西高の有終の美を飾ることに貢献すると同時に、本日、ほぼ時を同じくして入学する気仙沼高校の新入生とともに、高い志をもって切磋琢磨しながら、新しい学校の教育方針の下で、その歴史と伝統を創造していく役割を担っていくことになります。西高で過ごす高校生活の最初の一年間の価値をどのようにとらえ、そこで学んだことをそれ以降にどう活かしていくかは、皆さん一人一人にゆだねられますが、自らの将来を模索する中で自分の適性を見極め、才能を磨きながら様々な場面で力を発揮することで、皆さんが着実な成長を遂げることを期待しています。
さて、今年度の本吉地区の高校入学者選抜試験は、後期選抜入試の競争率が学校によっては近年になく高くなりました。本校も、今年度は後期入試で例年より多くの不合格者を出しました。そのいわゆる難関を突破してこの場にいる皆さんは、それぞれが誇らしく晴れ晴れとした気持ちで今日この式に臨んでいることと思います。
その皆さんに、私はここで、世間の人たちが考えがちな素朴な疑問を、実際に口に出して言ってみたいと思います。前期選抜入試で合格した人ももちろん含めてですが、何故皆さんは、一年生の時だけを過ごすことになる気仙沼西高校をあえて選んで、入学してきたのでしょうか。
この問いの回答はおそらく八十人それぞれに八十通りあるはずですし、胸を張って説明できる内容のものからたわいのないものまで、様々あると思います。その多くは傍目から見ている者には理解しにくく、当事者である皆さん自身にしかわからないものなのかもしれません。
誤解のないよう断っておきますが、私は入学してきた皆さんの経緯についてけちを付けるつもりはないし、理由を詮索したり、その善し悪しを判断するつもりも全くありません。ただ、先に述べたように、入りたくてもその志がかなわなかった人が比較的多くいることと、統合の過渡期に過ごす高校生活の特殊性を考慮する時、この機会に今一度、皆さんに西高に入学してきた理由を、自分の胸の中で確認してもらいたかったのです。この問いに対する回答が、皆さん一人一人のアイデンティティーだと考えますし、これから始まる高校生活の出発点になると思っています。
皆さんの高校生活は、通常時に入学する生徒には決して経験できない貴重なものとなることは間違いありません。皆さんは、気仙沼高校と同一の学習内容を行い、二年時に三類型全てを選択することができます。すでに様々な機会に聞いてきたように、気仙沼高校は平成二十八年度からSGH、スーパーグローバルハイスクールの指定を文部科学省からうけています。海を題材にして、あらゆる事態に柔軟に対応できる資質を培い、やがては地域の復興だけにとどまらず、日本や世界に貢献する人材の育成を目指して、教育内容全般を刷新してきています。統合という状況下で、文字通りグローバルな視野を身につけ、世界に羽ばたく人材を目指し、皆さんのユニークな高校生活を充実させてほしいと思います。
そして、皆さんは何より、気仙沼西高校の最後の一年間に立ち会うことになります。ここでもまた、通常の年にはない活動に携わることになりますが、在校生と協力して、先ずは今年一年、西高でもてる力を十分に発揮してもらいたいと思います。何年か後に振り返った時、忘れられない高校一年生の思い出がたくさんできることを願っています。
最後になりましたが、 保護者の皆様にはお子様の御入学本当におめでとうございます。震災後の御苦労を経て、今日の日を迎えられた喜びはひとしおのものと推察いたします。お子さまが統合の過渡期に高校生活を送ることにつきましては、戸惑いや不安もおありのことと存じます。常に御家庭と情報を共有しながら、教職員一丸となってきめ細やかな指導にあたりますので、御協力をよろしくお願いいたします。
気仙沼西高校の最後の一年間も、これまで同様、地域に果たしてきた本校の役割を全うする所存ですので、皆様の変わらぬ御支援と御指導をお願い申し上げまして、式辞といたします。
平成二十九年四月七日
宮城県気仙沼西高等学校長 佐々木光久